(女王の教室最終回 和美と由介が放課後に残っている場面の後)
(ある日の昼休み)
昼休み時間に5年の時に同じクラスだった沢下に呼び出された。
特別仲が良かったわけでもないのになんの用だ。
待ち合わせ場所の体育館への渡り廊下に行くと沢下が一人で待っていた。
貴重な昼休みに呼び出された俺は若干不機嫌に話す。
「なんだよ、急にこんな所に呼び出して」
沢下がバツの悪そうに答える。
「わりぃ、わりぃ、実はお前に頼みたいことがあって」
「頼み?なんだよ?」
沢下がゆっくりと話し出す。
「そっ、その前にさ、お前のクラスに神田っているじゃん。お前と神田ってどうなの?」
沢下の質問を理解できない俺は聞き返す。
「神田?どうって?何が?」
躊躇しながらも沢下が質問を続ける。
「だから、お前らっていっつも一緒にいるけどつきあってんの?」
思いもかけない沢下の質問に俺は答える。
「なにいってんだよ。つきあってなんかねぇよ。あんな奴と」
ぶっきらぼうに答えながらも、俺は思いもかけない話しにびっくりしていた。
俺の答えを聞いて、ホッとした様子で沢下が話す。
「じゃー、お前神田の事何とも思ってないのか?」
「ああっ」
なんか面倒な事になりそうだと思いながらも答える。
「じっ、実はさ、俺、神田に呼び出して告白しようと思うんだ。」
沢下は思い切って話始めた。
「えっー、マジで?」
思いもかけない急展開に、戸惑っている俺を無視して沢下は話を続ける。
「それで、お前、神田と仲いいじゃん?これ神田に渡してくれないか?」
そういって沢下は手紙を出す。
「なんで俺が、そんなかったるい事やんなきゃいけないんだよ。自分で渡せよ。」
そう答えながら、俺はこの間もどうやってこの状況をきり抜けようか考える
「俺、神田とそんなに話した事ないしさ。急に俺が手紙なんて渡したら彼女びっくりするじゃん。だから、仲のいいお前から渡してくれないか?なっ、頼むよ?この通り」
そういって沢下は手を合わせて頭を下げる。
「それにお前今日神田さんと掃除当番だろ?その時に渡してくれれば、なっ?」
「お前、2組なのによくそんな事知ってるな」
沢下のあまりの用意周到さに俺は少しあきれながら答える。
「じゃー頼んだぞ。」
そういって沢下は俺に手紙を無理矢理押し付けてダッシュで校舎に戻る。
「あっ、おっ、おい、沢下。俺は引き受けるなんていってねぇぞ!!」
と俺は叫んだが、沢下はもう校舎に入って戻ってこなかった。
「どうすんだよっ、これ。」
俺は手渡された手紙を見ながら思わずつぶやいた。
(放課後)
放課後、俺と神田は掃除当番を終え帰り支度をしていた。
もうみんな帰って教室には俺と神田しかいない。
俺は机の中から昼休みに沢下に渡された手紙を出す。
捨てるわけにもいかねーしな・・、やっぱり、渡すしかないよな・・。
沢下は悪い奴じゃないし、たしか少年サッカーでもエースをつとめているはずだ。
背も高いしルックスも悪くない。
しかも、確か中学も西川と同じとこ受かったんだよな?
なんでよりによってこんな奴が神田に目をつけたんだ・・?
まあ、俺がどうにかする問題じゃないしな〜、うん。
いろいろと考えている間に神田がいつの間にか、もうすでに帰ろうとしている。
俺は思いっきって声をかける。
「かっかっかっ神田っ。」
俺は思わず、声をうわずらせて思いっきりどもってしまった。
急にあたふたしている俺の様子を見てびっくりして神田が答える。
「なっ、何よ?急に、」
俺は気を落ち着かせながら話す。
「こっ、これお前にって預かってきた。」
そういって俺は沢下から預かった手紙を差し出す。
「何これ?」
神田はキョトンとした表情で聞いてくる。
「お前、2組の沢下って知ってるだろ?あいつに頼まれちゃってさ〜」
神田は手紙を受け取ると丁寧に封を開いて中身を確かめる。
俺はもう役目も終わったからここにいる理由も特にないんだけど、神田の様子が気に
なってそこに残っていた。
手紙を読み終えた神田はゆっくりとこちらを向きながら話す。
「あんたはこの手紙の内容知ってたの?」
神田は俺を少し険しい目つきで見つめながらつぶやく。
少しよわよわしいその声は、気のせいかトゲトゲしく感じる。
「うっ、うん、まぁな。まあ、めんどくさかったけど、あいつに無理矢理頼まれちゃってさ〜。あはっ、あはっはっ・・・」
そんな無理矢理引きつり笑いをしている俺を見ながら神田は無表情で
「そう」
と少し悲しそうに答える。
なんだかぎこちない空気が流れる。
「まぁ、めんどくさかったけど、おっ、おっ、お前の問題だし、俺がどうにかする事でもないしな。お前みたいなブスを好きになってくれる奴がいて良かったな〜」
あまりの居心地の悪さに俺は言わなくてもいい事がつい口から出てしまう。
こんな時に、何言ってんだ俺は・・・
いつもなら俺がからかうと、反論する神田だけど、今日の神田にはそんな様子は全くなかった。
そんな俺の様子を少し潤んだ目で睨んで神田は、
「そう、じゃーね」
と一言、小さくつぶやいて教室を出て行った。
なにやってんだ。俺は。。。
一人教室に取り残された俺は、神田の泣きそうな顔を思い出しながら、ぶっつけどころのない怒りを拳にのせてロッカーを殴りつけた。。。
(数日後・卒業式前日)
あの後、数日俺は神田と口をきかない日が続きたが気が付いたらいつも通り馬鹿なことをしゃべりあっていた。
神田とは、お互いあの日の事を話すことはなかったが、沢下から神田に告白して断られた事を聞いていた。
俺は、明日神田をを呼び出すこと決意した。
2006年12月01日
真鍋由介のライバル(小説)
posted by satoru
| 小説